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産後女性の心身不調は、決して一部の例外ではありません。
しかし日本では産後リカバリー(産後リハビリ)は医療制度・社会保障の枠外に置かれ続けています。
そもそも、妊娠出産が病気ではなく、医療の対象ではなく、個人の問題、個人責任としているのが日本です。
とはいえ、ここ数年でぐっと妊娠出産に関する、社会保障は整ってきました。
妊娠中の検診費用は自治体が負担してくれるところが増えましたし、男女の育休制度も拡充しました。
出産一時金の増額、妊娠中に5万、産後にも5万円の出産・子育て応援給付金もあります。
産後デイサービスも誕生しました。
しかし、母体の健康回復、健康増進については、圧倒的にサービスが足りません。
産後デイサービスは、ママの一時的な休息を可能にしてくれていますが、健康回復にまではサービス提供はありません。
自治体によっては、児童館などで、ママヨガなども提供されたりしていますが、十分というところまでは行きません。
今回、東京都台東区浅草橋、東京文具共和会館でおこなわれたママフェスProに出展。
そこで、産後ママおよび産後ケア従事者15名を対象に「産後リカバリーの必要性」を10段階で評価してもらったところ、全員が10点(必要性100%)という結果となりました。
これは感覚的な満足度ではなく、
解剖学的・運動学的・予防医学的観点からの必然性を反映した結果といえます。
― 解剖学・機能面からの整理 ―
妊娠期から出産にかけて、以下の構造に持続的な負荷がかかります。
妊娠中、子宮の増大と腹腔内圧の変化により
これらの筋群は長期間にわたり腹筋群、骨盤底筋群、腸腰筋は伸張位で固定されます。
産後、ホルモン環境(リラキシン等)の影響も相まって、
が生じやすい状態となります。
出産後、すぐに腹筋群・骨盤底筋群による支持力が回復するわけではありません。また、自然と妊娠前と同等程度にもどるかというと、そうとは言い切れません。支持力が不十分な場合、
内臓下垂(visceroptosis)起こりやすくなります。
その結果として、
といった段階的・不可逆的な変化が生じる可能性があります。
実際、12才~95才までの女性のパーソナルトレーニングをしてきた私は、更年期からシニア期の女性の関節変形、ヘルニア問題の発症時期を聞くと、産後から調子が悪く、更年期以降それらの問題が加速したと感じている女性の声を大変多く聞くのです。
産後の弛んだお腹を引き締めることは、ただの美容的側の自己満足のための事ではなく、将来の疾病予防に欠かせないアクションなのです。
さらに問題はそれだけではとどまりません。内臓下垂は前傾姿勢にもつながりやすく、
など、全身アライメントへの影響、身体トラブルを引き起こします。
妊娠中に様々な変化があった女性の身体は、産後に元に戻ろう、回復させようという働きが自然とおきます。その時に、あと押ししてあげるようにセルフケアすることで、産後の睡眠不足や慢性疲労があるなかでも回復が順調にすすんでいきます。
授乳期間は特に、成長ホルモンの分泌量が増え、母乳生成はもちろん、母体の回復にも良い影響を与えます。
📚 エビデンス
Johannsson et al., Journal of Endocrinology
外傷・侵襲後にはGHおよびIGF-1系が回復反応として活性化する
Ho et al., Endocrine Reviews
成長ホルモンは成人において、創傷治癒・組織修復・代謝回復に重要な役割を果たす
しかし、産後のこの時期に適切なケアが行われない場合、アライメントの崩れが、関節痛、偏頭痛など痛みを作り出し、痛みが「慢性化」し、精神面にも影響を与え、子育てにも悪影響を与えてしまうようになることが想像されます。
事実、痛みがあるうちは笑顔になれませんし、抱っこしてあげる時間も短くなってしまいます。
また、その不調は更年期に整形外科疾患として顕在化してきます。
忙しいこの時期に、自分のケアに時間を割くことは考えられないという方もいます。
ですから、妊娠中から産後はすぐにボディメンテナンスをするべきなんだ、シュミレーションしておくといいでしょう。
複数の調査において、
妊娠中から産後にかけて約9割の女性が何らかの心身トラブルを経験しています。
今回のママフェスでもママ達に声を聴き、同様の結果となりました。
しかし現行制度では、産後女性の健康回復に関して、社会保障はありません。福祉、保健どの分野も対象外なのです。
慢性疲労、関節痛を「産後だから仕方がない」と、不具合を抱えながらの子育てするのが当たり前の日本です。
という支援の空白領域が存在しています。
その結果、多くの女性が
「産後だら仕方がない」
と、不調を受容してしまっているのが現状です。
産後リカバリーは、育休を取得した女性が元気に職場復帰ができるサポートになりますし、将来の疾病予防になります。母親の精神面の安定は、子どもの精神面にも良好な影響を与えます。
つまりは、産後の健康回復支援は、
につながります.
これは、少子化対策としても、女性活躍推進としても個人努力に委ねるのではなく、食事、運動、睡眠メンタルケアを横断した多職種連携モデルとして社会実装していく必要があると、私は考えています。
なぜなら、健康回復に栄養は欠かせませんが、栄養をとっていても、低下した筋力は回復しません。運動することでしか回復できないのが筋力です。また、十分な睡眠時間や心の安定が無ければ回復してこないのが人間の身体です。ですから、多職種連携で産後女性を支えられる仕組みが必要です。
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